冒頭の症例は,一昨年来院された,アライナーやマウスピース矯正では対応不可能な,強度の反対咬合症例.プロである矯正歯科専門医がワイヤー矯正で治療担当した.第I期終了した本症例,上アゴ55の萌出余地がまるでなかったが,ワイヤー矯正で上アゴは拡大され,犬歯の萌出余地も確保された.側方歯萌出後さらに第II期矯正が控えている..
DATA :
画像説明 :
1 : 主訴 : 受け口
2 : 診断名あるいは主な症状 : 反対咬合
3 : 年齢 : 10歳8ヶ月
4 : エッジワイズ装置
5 : 抜歯部位 : 非抜歯
6 : 治療期間 : 1年5ヶ月(I期矯正治療終了,以後II期矯正治療が控えている) 7 : 治療費概算(外税) : 初診料 \5,000 診断料 \50,000 基本料 \300,000 処置料 \3,000
8 : リスク副作用 : 所見無し
ハロー皆様
カマクラデントフェイシャルオーソピディクスの山本一宏です.
小児矯正
お隣どうしで同時に矯正治療を始めました.右のお家は出っ歯のお子様.左のお家には受け口のお子様がいらっしゃいます
右の患者様は2年ちょうどでワイヤーが外れとてもご満足のご様子
左の患者様は1年半の第I期治療は完了し装置が一旦外れたものの,その後,第II期の治療が始まり,初診から3年半経った今も装置が外れずにいる
流石にしびれを切らしたお母様が,
“なんで隣の子は2年ちょうどで,うちの子はなかなか治らないんでしょうか?”
ヒトの顔の成長発育の様相からです.体のあらゆる部位は,全て同時に同じだけの量起こるものではありません.だとしたら,みんな赤ちゃんのままの三頭身になってしまいます
頭蓋では1.頭,2.上アゴ,3.下アゴといった順番で成長変化が起こります.
出っ歯の方では,上の顎の成長に抑制をかけるだけで,下アゴがすくすく育って出っ歯は治ります.
受け口の方では,反対の噛み合わせを矯正しても,また下顎の前下方への成長が起こり,噛み合わせは浅くなってしまいます
この繰り返しで治療期間は出っ歯と比較して長くなってしまうのです
こうしたことも言わずに,初診で面談する前に,“短期間で治ります”っていうのは,どう考えてもちょっとおかしい
今回紹介の本症例近隣の一般歯科医院にて“外科矯正でアゴ切りをしない限り治療できない”と宣告された
矯正歯科医にかかればこんなに簡単に治すことができるのに
それに,このままI期治療をせずに成長が済むまで待って
手術をするとなると上顎55は抜歯となること必定です
ただでさえ小さい上アゴ成分をさらに小さくすることは避けねばなりません
口腔外科学会とののシンポジウムでも,上アゴ下アゴのtwo -jaw-surjery は,眼があるため,眼科医立ち会いのもとに行われるため,上アゴばかりは成長期に矯正治療によって歯並びを整えておくことを推奨しています
そんなことも知らずに,自らの狭量から手術の宣告をすることは信じられません
謙虚に
“治らない”
・・・ではなく
“私には治せない”・・・と宣言すべき
元来、医療とは、患者主役の、医師によって行われる行為です。施術側には、医師による全責任のもと、看護師・歯科衛生士・歯科技工士などパラメディカル・パラデンタルの面々は、医師の治療をサポートして、心を込めた手当を遂行します。
ところで、前にも語りました通り、このマウスピースによる矯正、現時点で、薬事も通過していない、学会からも認められていない、医師の裁量で行われる医療行為です。従来から護送船団方式で、諸外国からの薬品の流入を排除してきた薬事法。著者が若い日には口腔周囲筋訓練に使用するボタンの使用も禁止されたのに、なぜかまかり通っている。そして、ついに、医療ではない、ビジネスとして、オピニオンリーダーまで駆り出して、言葉巧みに蔓延しようとしている。
思い出してほしいのは、矯正治療において、基本は、従来(コンベンショナル)からのマルチブラケット法と称ばれる、ワイヤーによる矯正法。1900年のアングル・スクールのスタートから連綿と継続する世界に認められた安心・安全の王道をゆく方法です。著者の認定を受けているWFO, AAO, JBO, 日本矯正歯科学会、・・・と、世界中の学会から認定を受けています。
一定の制限のもと、抜歯症例をも含めた、いい成果を示している歯科医師も中にはいる。
ただし、ここで言える事は、これらの、マウスピースを用いての、矯正治療に成功している歯科医師は、学会認定医などの、従来(コンベンショナル)からの矯正装置でも治せるひとたちです。失敗を避けたければ、医院の選択が重要な決め手となります。
近いから便利、簡単に治る、安くすむ、取り外しだから失敗しても大した被害はない・・・などの軽い気持ちで飛びついても、騙されたと気付くのは2年も経ってから。お金も、費やされた時間も戻ってはきません。
外科矯正まで含めればありとあらゆる症例に対応可能なワイヤーによるコンベンショナルな矯正治療と異なって、マウスピースによる矯正は対応不可能である以下のような禁忌症例があります。ところが、どこの医院のウエブサイトを見ても、すべての症例に対応可能と書かれてりるようです。マウスピース矯正で絶対してはならない禁忌の症例は以下の通りです。
マウスピース矯正における禁忌症例
- 強度の叢生 #歯並びが悪い #乱杭歯 #ガチャ歯 #デコボコの歯
- 骨格性不正 #顎口腔機能診断施設 #アゴ切り手術
- 小児矯正 #成長発育 #ディファレンシャルグロース
- 20H/day 装着義務 #アンフィット #矯正治療失敗
以下のテーマをもとに、122年の歴史に裏打ちされた、マルチブラケットを用いた包括的な素晴らしいワイヤー矯正について、語ってゆこうと思います。
担当ドクターに不信感のある方は,セカンドオピニオンとして受診可能ですので,ご一報お待ち申し上げます.
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院長:矯正歯科専門医 山本一宏
日本矯正歯科学会認定医・矯正歯科専門医
日本成人矯正歯科学会認定医
日本矯正歯科協会(JIO)正会員
日本歯科矯正専門医認定機構(JBO)認定医
American Dental Association,
American Association of Orthodontists,
World Federation of Orthodontists, Member