3.セファロの目的 B) 矯正治療前後の比較による矯正治療効果の判定(矯正治療に治療計画上の抜歯は必要か?)

骨格性上顎前突不全症例の矯正・整形治療

指しゃぶりや舌突出癖で歯が動くことからもわかるように,歯に装置をつけて,ワイヤーを通せば,誰にでも歯を動かすことができます.でもそれが診断通りにブレずに進行しているかどうかは術者にしかわかりません.

歯の矯正をされるなら,どの歯をどのようにしたいのか?目の前にいるドクターが,それを治してゆく知識・技術・経験があるのか,初診時に聴いておくことが大切です.

タクシーに乗って,行き先を告げずに黙っていたら,運転手はどこにゆけばいいかわかりません.

タクシーに行先を告げても,その場所を,土地勘のない運転手が知らなくても,行き着くことはできません.・・・でもナビ設定をして,検索画面に目的地が表示されれば,辿り着くことができます.

矯正治療におけるセファロ= 頭部エックス線規格写真とは,このナビのような設備です.しかし,小部屋ひとつ分の大きさで,設備に一千万超かかるので,主に歯科大学か矯正歯科医にしかありません.

セファロ
矯正診断に必須のセファロ顎態を正常集団と比較してどこがどのようにずれているか判定する

セファロの分析から分かることのひとつに”矯正治療における抜歯非抜歯の判定”・・・があります(より詳しい抜歯・非抜歯の議論につきましては過去ブロこちら矯正歯科における抜歯治療と非抜歯治療・中立の立場からhttp://www.dentfaco.com/dentfaco_extnon.html・・・をクリック)

今回は2016年に専門医会で発表した症例

「骨格性上顎前突不全症例」・・・から

矯正治療でなぜ抜歯が必要なのかを語ってゆこうと思います

女性骨格性上顎前突不全症例
前歯の水平方向の開き= OJ= オーバージェットが10mmを超える女性骨格性上顎前突不全症例

当院症例番号7172

氏名  : HIM さま

性別  : 女性

①主訴 : 歯が出ている

②診断名あるいは主な症状 : 骨格性上顎前突・右上6欠損の不全症例

③年齢 : 24歳2ヶ月

④治療に用いた主な装置 : エッジワイズ装置・サービカルヘッドギア・J-フックヘッドギア

⑤抜歯部位 : 上下左右第一小臼歯・上顎左側第一大臼歯

⑥治療期間 : 2年8ヶ月

⑦治療費概算(外税) : 初診料 ¥5,000  診断料 ¥50,000  初診料 ¥840,000  処置料 ¥7,000

⑧リスク副作用 : 所見無し

CosmeticCosmeticApp
この症例で使用した透明な矯正装置とホワイトワイヤーからなるコスメティックアプライアンス
J-フック・ヘッドギア
突出した前歯の後退に用いるJ-フック・ヘッドギア整形装置もちろん外にやってゆく必要はありません1日8時間使用しました

口腔内ゴムの種類 : Cl II short

保定装置 : 上顎 : ソフトリテーナ,下顎 : ソフトリテーナ

ソフトリテーナ
歯を動かす治療後1年間使用する当院のソフトリテーナと他院のホーレータイプの比較 後者が終日使用に対し8~10時間の使用でOK

診断時の特記事項 : オーバージェット(前歯の水平方向の開き)10mm の骨格性II級症例.右上第一大臼歯欠損.上下前歯に軽度の叢生(デコボコ)が見られる.

サーヴィカル・ヘッドギア
矯正治療は前歯と奥歯の綱引き奥をきちっと固定しておかないと十分な前歯の後退は望めないこちらも在宅中のみ1日10時間使用しました

治療経過 : Kloehn type ヘッドギア(写真男性と同型)をセットし,7|7 が手前に動いてこないようにホールドした後,口腔外科医に左上第一大臼歯抜歯依頼しました(反対側が欠損していたためバランスを取るためこれは上アゴを小さくしてゆくために有利).

上下歯列にエッジワイズ装置装着.形状記憶ワイヤーによりレヴェリングを開始.utility arch によりレヴェリングと同時に vertical control をおこなった.

MEMO mechanics
この症例とは違う金属の矯正装置だが同じメカニクス他の流派と異なりデコボコした歯をまっすぐにしてゆくレヴェリングとバイトを挙上するバーティカル・コントロールを同時に行ってゆく

(今回の患者さんのような目立たない透明な装置とホワイトワイヤーではありませんが同じ当院のMEMOシステム=レベリングと縦のコントロールが同時進行)

約3ヶ月経過時点で上顎左右第1小臼歯を抜歯.

その後5ヶ月で下顎左右第1小臼歯を抜歯.

カマクラジーンループとポーループ
ゴルファーがウッドとアイアンを持ち帰るように2種のループで前歯の後方移動

当院開発のclosing loop を付与した Indiana 大学方式のαβベンドを組み込んだアーチで,アンマス・リトラクション(犬歯から犬歯までの一括移動)した.

アンマス・トラクション
他の流派が犬歯と前歯を2回に分けて後方移動してゆくのに対しMEMOでは一塊として行う

インターディジテーションの確立のため,アイデアル・アーチによるディテーリングをおこなった.

症例の評価・予後 咬合は安定している.

ヨセミテ
MacOSデスクトップピクチャーからヨセミテの少ない平地に樹木は直立して立つ

(MacOS デスクトップピクチャー木も電信柱も直立している)

今回の症例では,主訴である “歯が出ている” 点を改善しなくてはならない.前方位をとる前歯を後退させるためには,外科手術で上顎骨全体を後方移動させるか,抜いた歯のスペースを詰めるしかない.

また本症例では,下の前歯も15°ほど前傾している.ツイードによる抜歯基準では直立していることが大切.

TweedTriangle
抜歯基準のために設定されたツイード三角=IMPA90°が理想とされる

実は

“抜歯・非抜歯・・・の議論”・・・は学会レベルではもう決着がついています.

2000年第59回の日本矯正歯科学会大会において,矯正治療黎明期20世紀初頭の著名な矯正歯科医であるDr. Calvin S. Case の言葉を引用して語った言葉をもって,日本矯正歯科学会としての統一見解としたようでした.すなわち,”The failure to extract teeth when demanded is quite as much malpractice as the extraction of the teeth when not demanded.(必要なときに抜歯しないでいるのは,抜歯をしてはいけない症例で抜歯をするのと全く同様,間違った治療だ.)”

数年前の大会でも質問に立った認定医ではない会員が議論を“抜歯・非抜歯”・・・にもってゆこうとしたところ,座長によって遮られる一面がありました.現時点で,学会レべルの議論はエビデンスをベースにしています(Evidence based medicine).学会レべルで議論に決着がついているにもかかわらず,非抜歯論を振りかざすというのはまさしくエンピリカル= EBMについては=  http://www.dentfaco.com/dentfaco_sos.html・・・をクリック!

当院における2年8ヶ月の動的治療期間でフィニッシュした女性骨格性上顎前突不全症例について初診時から・試料採取・診断・治療方針の立案まで語ってまいりました.だいぶ濃〜い内容だったので疲れちゃったかな?最後までお読みくださりありがとうございます.矯正治療結果につきましては次回の blog でお伝えしてまいります.

 

 

  1. セファロって何?
  2. セファロの歴史
  3. セファロの目的 A) 形態分析による矯正歯科診断・抜歯基準・矯正治療方針の立案 B) 矯正治療前後の比較による矯正治療効果の判定 C) 成長量・アゴの成長発育方向の判定 D) 矯正治療結果の安定性の判定

矯正歯科鎌倉 dentofaco のテクニックと治療費= インディアナ大と同等同質の治療が受けられます

Certificate of MS Indiana Univ

多くの日本における矯正歯科医が
Vari-simplex だの
Bio-progressive だったり
将又
McLoughlin だったりと
アメリカの有名な先生の方法そのままで
治療しているなかで

当院= 矯正歯科鎌倉 dentofaco
・・・では
院長: 山本一宏が創案した
MEMO mechanics= Minimum Essential Mechanics in Orthodontics
・・・で本格的な= corrective
矯正治療がルーティーンに行われております

MEMO法は
真の日本人のために
日本人によって開発された
日本の方法です

・・・とはいうものの
やはり矯正の先進国
アメリカで
バーストンがインディアナ大学で開発した
セグメンテッド・アーチ・テクニックが
その下敷きにされているところは前掲した
リケッツのBio-progressive
・・・と源流を同じにしていると言って過言はないでしょう

インディアナ大学バーストン教授
インディアナ大学バーストン教授

(セグメンテッドアーチテクニックの創案者インディアナ大学バーストン教授)

わたしは
バーストンがコネチカット大に移ってから
インディアナ大学に就任した
ハリソン・フォード並みにかっこいい
その後の教授
ユージーン・ロバーツに
この方法を習いました

インディアナ大学バーストン教授
インディアナ大学ユージーン・ロバーツ教授

(著者が受講したセグメンテッドアーチテクニックコースの主宰インディアナ大学ユージン・ロバーツ教授)

もちろんだから
“この方法でやれ”
・・・とおっしゃるなら
寸分違わず
あなたのお口の中で
この方法
“セグメンテッド・アーチ・テクニック”
・・・を展開させることもできます

・・・ところがこの方法
確かに理詰め

“それまで定性的だった矯正治療を
きちんとした数式で定量化した
・・・”のははっきり言って
バーストンの功績のおおきなひとつですが

インディアナ大学セグメンテッドアーチテクニック元法で使うワイヤーの数々
インディアナ大学セグメンテッドアーチテクニック元法で使うワイヤーの数々

(可撤式矯正装置を用いた顎顔面整形歯科の成書の上に”セグメンテッド・アーチ・テクニック”で用いるセグメンテッドアーチを並べてみました= この日本の地でトム・グレーバーのライフワークだった顎顔面整形歯科とバーストンのバイオメカニクスが合体し真の日本人のためのMEMO矯正法が生まれました)

この方法
上下の歯列を前と左奥
右奥の6っつに分け
それぞれに
小さな針金=セグメントテッド・アーチ
・・・か入り
さらにそれらをユーティリティー・アーチが結び
歯列の内側にはリンガルアーチが
それぞれを補強していて
合計10本もの針金がお口の中に入るんです

これではちょっとバルキー
・・・ということで
チューブ・ブラケットはそのままで
できる限り3本以内のワイヤーで
この素晴らしい方法を表現できないかと
1日100名以上の矯正患者さんが来院した
小田原旧”曽根矯正歯科”での
修行時代著者によって考案されたもの矯正法なのです

インディアナ大学セグメンテッドアーチテクニックから発展した真に日本人のためのMEMOテクニック
インディアナ大学セグメンテッドアーチテクニックから発展した真に日本人のためのMEMOテクニック

その特徴は
1)レヴェリングとヴァーティカルなコントロールを同時に行う

約3ヶ月の矯正治療期間の短縮が約束されるその分治療費も安価となる
当院で開発されたMEMO法ではレヴェリングとヴァーティカルコントロールを同時に行う

=つまり
矯正法にも生け花同様多くの流派があって
ビートルズの歌で有名な
アリゾナ州ツーソンにある
矯正治療における最大流派
ツイード・ファウンデーションはじめ
他の流派
そのほとんどが
二回に分けて行う
レヴェリング=すなわちデコボコした歯をまっすぐに並べてゆく過程

・・・と
ヴァーティカルなコントロール=閉じてしまった
あるいはロックされた(鍵をかけられた)
下アゴを
咬合を挙上させることによって
生理的な正常な位置に解放させる
・・・この二つを同時に行なってゆくのに特徴があります

つまり矯正におけるビッグネームたちが考案した他の方法と比較して
約3ヶ月の治療期間の短縮ができる
・・・ということ

2)2種類のリトラクション・ループを使用

矯正歯科鎌倉 dentfacoで開発された2種類のループ
MEMO法ではゴルファーがウッドとアイアンを持ち帰るようにカマクラジーンループと猫の手の形のポーループの2種類のループを使って EnMasse= 一塊として前歯の後方移動を行ってゆく

インディアナ大学
アーリーアメリカンの
ナンダ教授の製品化もされているマッシュルームループ
我が師予五沢文夫氏のVループ
ツイード派ブルループ
・・・など
他の全ての矯正法で
一種類のループでおこなわれる
リトラクション

MEMO法では
ゴルファーが
ウッドとアイアンを持ち替えるように
最初は
大雑把にたくさん歯をを動かす
カマクラジーンループ
次に
仕上げに向かい歯を
少しづつ動かす
猫の手の形の
ポーループ
・・・この2種類のループを使って
アン・マス= EnMasse= 一塊として
つまり
他のほとんどの方法では
犬歯と切歯を二回に分けて動かしてゆくのに対し
いちどきに前歯の後方移動を行ってゆきます
ここでまた
他の方法と比較して
6ヶ月前後の治療期間の短縮が図れます

でも
治療費は
国立大に準ずる
合理的な設定をさせていただいているため
どなたでも治療を受けることができます

治療費内容は
“はじめのご挨拶・矯正歯科鎌倉 DENTOFACOと院長:山本一宏の紹介”・・・にジャンプ
https://dentofaco.sixcore.jp/dentofaco/
・・・に掲げた通りです