前回お伝えした矯正歯科専門医会・・・は,わが国において価値のある本来の矯正治療の姿をひとりでも多くの国民に知っていただくことを目的として2000年に発足しました.
同会の調査でGP= 一般歯科医による矯正治療では,10人の受診に対し,ひとりかふたりしか適切な矯正治療が施されていないことがその理由です.もちろん法的に言えば歯科医師でありさえすればだれでも矯正治療をおこなっていいのです・・・が,諸外国では歯科医師免許を取って,卒後教育としてさらに3年から5年の研修を経て,はじめて矯正歯科医= オーソドンティスト(orthodontist)・・・として開業します.そして,8割のひとが矯正歯科医を受診します.残りの2割が一般歯科医を受診します.ところがこの比率がわが国では逆転しているのです.
以前は歯の治療はデンティスト(dentist), 歯の矯正はオーソドンティスト(orthodontist)・・・として棲み分けができていたのですが,ここのところ,中学生の時点でふたりにひとりにムシ歯がないといった口腔衛生習慣の確立とコンビニの2倍ともいわれる同業者の林立から,それまで何の勉強も何の修行もしてこなかった歯科医たちが見よう見まねで高度な専門性の伴う矯正治療に手を染めるようになりました.同じような専門分野であるインプラントでは,講習会に出なければプロが使う材料を販売しないような風潮があるのですが,矯正材料の業界では本来専門家が用いる矯正材料や整形材料を誰にでも売ってしまいます.さらにはインビザラインに代表される誰にでもできるマウスピース矯正の登場で混迷はさらに深まっております.
もちろん一般歯科医の中にはニューヨークまで矯正の勉強に行ってしまうほどの熱血漢もいるのですが,10人に対しひとりかふたりしか適切な矯正治療が施されていない現状では,一度始まってしまえば2年先まで結果がわからない道程です.
“何年経ってもおよそ歯が動いているとは思えない”
“えっ!もうこれで終わり?”
・・・キレイになるって言ったのに・・・
“口がどんどんとんがってきて猿やカッパを思わす顔になってしまったきてしまった”
・・・や
“歯は並んできたものの全部の歯がしみてきてしまった”
“頭が割れるように痛くなってしまった”
・・・などのお口の中だけに留まらず全身的健康被害も!
・・・でもあなたがやめると言ったんだから返金は有りません
騙されたとわかるのは2年も先でそのほとんどが泣き寝入り.ついに消費者庁長官をして,”これ以上返金トラブルが多いならエステ扱いにするわよ!”・・・といったところまで来ています.アメリカではトップ100ジョブ中1位を飾りさらにそのうちでも資格を取る事が大変な矯正治療がです.きちんとした知識を持った賢い医療消費者であってください.
矯正治療に失敗して矯正歯科医に転院してくる患者さんに聞いても,そのほとんど全てが治療前にセファロを撮っていないか,撮ったとしても分析が行われていないかのどちらかです.本物の矯正治療を見分けるコツはどうもセファロにあるようですので,これから読者の皆様と一緒に矯正歯科の森に踏み入ってみませんか?ちょっと専門的ですが,わかりやすく説明させていただきますので,この素晴らしい診療科の片鱗でも知っていただければ幸いです.わからないことがありましたらどうぞお遠慮なくトラックバックしてくださいね!
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