展開中のセファロの話題も,余すところあと
D) 矯正治療結果の安定性の判定
・・・のみですが,少し後回しにして,火急の問題として,昨今巷で行われている “NG矯正”・・・についてもう少し語ってゆこうと思います.
上の写真は,同じJBO公認のJSO= 矯正歯科専門医会会員= 三重県伊賀市のアイウエオ矯正歯科院長である廣島邦泰(ヒロシマクニヤス)先生のウエブサイトからお借りしました.昨今のわが国における矯正歯科事情を的確に表現しているからです.
“NG矯正” の命名者ももしかしてこの先生?専門医会で今度会った時に訊いてみます.
セファロを用いた診断では,将来の歯並び・かみ合わせを,数値化して,目標がはっきりと見えるので,一直線にそこに向かって進んでゆくことができるのですが,巷では,実際そうはなっていないことが,矯正材料の売り上げから明らかになってきております.
なんでこんなものが売れるようになってきたのだろう??
元々は,唇顎口蓋裂の患者さんで,上アゴの破裂部にホネがないために,このようなスクリューの装置で上アゴの真ん中の骨の縫合部を割って,上アゴのホネを側方に拡大するのに使う整形装置だった.
こんなものを,女の子が型をとって,先生は診もせずに技工所送り,1週間ほどで出来上がってくると,女の子がセットして,先生は診もせずに,はい30万・・・なんてことが行われているようだ.
この装置本来はプロである矯正専門医が,施設基準を得て,健康保険で,唇顎口蓋裂の患者さんの治療に用いる装置だった.
それがいつの間にか,矯正材料屋が,売って,売って,笑いが止まらないほど,全矯正材料のうちで1番の売り上げを誇るものとなった.
ところで,この本来はプロである矯正歯科医が使う整形装置.セファロも撮らない矯正素人が,測りもしないで使用して危険はないのだろうか?
だって,アゴのホネが左右に割れて上アゴが大きくなる.成長期では確かに添加性に骨添加がおこって上顎骨は大きくなり,よりたくさんの歯が並ぶようにはなる.でも上だけ大きくしたら,下の歯列とかみ合わなくならないか?
小顔は褒め言葉,大顔はそうでない.オチョボ口は褒め言葉,大口はそうではない.わたしは顔は大事なもの.セファロを撮って計測もせずに,ただ徒に大きくしていいものだとは思いません.
“イッタリキタリ矯正の怪”・・・に続く