学童期= (永久歯と乳歯の)混合歯列期のアゴの成長

赤ちゃん・・・って4頭身ですよね!・・・もしそのまんまのプロポーションで育っていったら,4頭身のおとなになってしまいます.

DifferentialGrowtth
ヒトの成長発育は各部において一様ではないもし一定だと4頭身のおとなができあがってしまう

身体各部は,ディファレンシャル・グロース・・・といって,成長量もタイミングも異なります.

mandibular growth
ヒトの下アゴの成長発育の様相

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混合歯列期といって,永久歯が乳歯と混って生えている,8歳前後で来院された患者さんのお母様のなかには,これからアゴが大きくなるのだから,デコボコも成長に伴って治ってくると思っている方が時々いらっしゃいます

ヒトの全身の成長発育はディファレンシャル・グロースといってはじめ4頭身ほどで誕生した赤ちゃんがやがては8頭身の美女に成長します

どの部位も同じ方向に同じだけ伸びてゆくのではないのです

顔の骨の成長も
リモデリング
=添加吸収
・・・といって
ある部位では積極的に大きくなってゆく
一方で
ある部位は吸収=消えて無くなってゆくのです

LeewaySpace

図はミシガン大学成長発育研・・・の縦断的統計処理による成長発育の様相.身体各部がだんだん大きくなってゆくのに比して,この部分は逆に小さくなってゆきます.

Remodeling

ヒトの下アゴの成長は,下顎骨の関節突起後縁(フライドチキンのモモみたいな関節)・・・で添加=骨が足されてゆくこと,下顎骨の下顎枝前縁(焼き鳥屋でいうカシラ=側頭筋の停止部)・・・で吸収=骨が無くなってゆくによっておこるのであり,6番目の第一大臼歯から前歯にかけては実は以下の機序で成長発育を通じて小さくなってゆくのです.

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中央上下の1から6の数字は上アゴと下アゴの永久歯を示します.色付きの数字は萌出順序=生えてくる順番.下アゴで説明しますと,最初に6番目の6歳臼歯=第一小臼歯が生え,一般的には,その後順番に1から5までが生え揃います.

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この時,それまで生えていた乳歯の幅の合計と,後続する永久歯の幅の合計では,乳歯の方が平均約 1.7mm 大きいのです.乳歯列では一番奥の乳臼歯だったからですね!この差はリーウェイスペースと称ばれます.成長期に逆に小さくなったのは,この分永久歯が風下に流されるようにして近心= 手前に移動したからです.

われわれ矯正歯科医は,全部の症例で,抜歯をして矯正治療をしているわけではありません.模型上で,コロナル・アーチレングスを計測し= available arch length .トゥース・マテリアル(全歯の幅経の総和)をマイナスして= required arch length を算定し,さらに,セファロ分析をして head plate correction (2.5° = 1mm 計算)・・・をかけて,非抜歯か抜歯かを判定しています.

叢生= 歯がデコボコした症例で,抜歯か非抜歯のボーダーラインケースで,非抜歯を選択した場合には,このリーウェイスペースの利用が不可欠になってきます.6歳臼歯が風下に流される手前で装置をセットして,動かないようにして,前からスペースを使って後続永久歯を並べてゆくのです.

リーウェイスペース
混合歯列期におけるE-スペース=リーウェイスペースの利用

決して前に広げてゆくわけではありません.歯は拡げても頬筋機構に押し返されてもとのデコボコに戻ってしまいます.

頬筋機構
頬筋機構=歯列は頬の筋肉と舌との釣り合いのもとに安定している

オチョボ口は褒め言葉で,大口=ビッグマウスはそうでない.小顔が褒め言葉で,大顔はそうでない.

まとめです.セファロ分析もしないGP= 一般歯科医院で,プロが使うような矯正装置や整形装置を使って,非抜歯非抜歯といって歯列を拡げていったとしても,顔はとんがって魚のような顔になるし,デカイ顔のサルのようになるだけ.装置を外せば瞬く間に後戻りして,それまでに使ったお金と時間はすべて無駄になります.

非抜歯で矯正するということは,歯列を拡大することに他なりません.学童期= 混合歯列期でセファロ分析によって計りもしないで,歯列を拡大したところで,12歳からの本格矯正で,矯正歯科医がセファロ分析の結果,抜歯の診断を下せば,それまでの治療は無意味になるばかりでなく,歯は”イッタリキタリ矯正”・・・のストレスにさらされ,歯根吸収= 根がチビルや歯の根を取り巻く歯槽骨の吸収などのコンプリケーションをきたします.歯の治療は歯科医へ!歯の矯正はオーソドンティスト= 矯正歯科医へ!

次回から,昨今当院・専門医会で公にされた”NG矯正”・・・について語ってゆこうを思います.

  1. セファロって何?
  2. セファロの歴史
  3. セファロの目的 A) 形態分析による矯正歯科診断・抜歯基準・矯正治療方針の立案 B) 矯正治療前後の比較による矯正治療効果の判定 C) 成長量・アゴの成長発育方向の判定 D) 矯正治療結果の安定性の判定

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