副題 : カマクラデントフェイシャルオーソピディクスでは,一般歯科でのNG矯正の後始末として,やり直し矯正にも積極的に取り組んでおります.
keyword : NG 矯正・やり直し矯正・出っ歯・抜歯
画像説明 :
①主訴 : なし 東京の一般歯科医院より転院
②診断名あるいは主な症状 : malpractice
③年齢 : 12歳8ヶ月
④治療に用いた主な装置 : エッジワイズ・クリア装置
⑤抜歯部位 : 非抜歯
⑥治療期間 : 3年9ヶ月
⑦治療費概算(外税) : 初診料 ¥5,000 診断料 ¥50,000 初診料 ¥600,000 処置料 ¥5,000
⑧リスク副作用 : 所見無し
混合歯列期ではありませんでしたが,学童期にあるこんな患者さんが来院されました.なんでも,最近東京から,鎌倉に引っ越して来て,東京で矯正治療を始めたので,そのまま継続して東京まで通うつもりである.ただし,装置が取れてしまったり,当たって痛かったりしたときだけ診てもらえないか?” もちろんOKです!”
ところが来院されて診ると,上の写真左に見るように,歯は並んでいるんですが,かみ合わせの原則が無視されています.
“どんなところが気になって矯正治療を始めたんですか?”・・・って聞いてみると,
“出っ歯を治したい・・・”・・・って回答が帰ってきました.
“このままでは奇跡が起きたって出っ歯は治りませんよ!”
・・・だって装置は上の前歯から中間歯の10歯に入っているだけで,上の奥歯にも下の歯列全体にもなんら装置は見られません.”出っ歯を治すんだったら・・・
- 奥にも装置を入れて固定する.
- 上だけ左右小臼歯を2歯抜歯して前歯を後退させる.
- 下の歯列にも装置をセットして,顎間ゴムをかける
・・・などの何らかの矯正力をかけなければ出っ歯は治りません”
この患者さん,前々から,”いつになったら歯は引っ込むんだろう?”待てど暮らせど何も起きないことに疑問を感じていらしたので,鎌倉 dentfaco 山本歯科・矯正・・・に転院することを意思決定されました.
上の写真右が当院でのやり直し矯正で結果です.治療期間2年5ヶ月(最初から当院を受診されれば1年半ほどの症例)赤の矢印で示したように,当院初診時全くズレた関係を示していた犬歯関係は,当院やり直し矯正後ではぴったりと一致しています.
矯正装置自体にはなんら価値はありません.建築でいえば足場に当たるものですので,矯正治療が終了して,いい歯並び・かみ合わせになれば,外して捨ててしまいます.この症例では東京での前医に支払った費用は30万円.前医からの返金は一切ありませんでした.
もう一つ重要な点があります.矯正歯科の仁義に則って初診時の資料を請求しましたところ,”非抜歯にて矯正治療を始めました.資料はありません.”・・・
NG矯正のほとんどすべてがこの方同様なんの資料も無く,セファロ分析もされず,ただ歯に装置を貼り付けてワイヤーを通すだけ.それでも何十万かの治療費は課金され.また治療が失敗に終わっても,患者さんの泣き寝入りで,非を認めようとせず,返金もされません.大工さんに家を建てるって頼んでも “アイヨ!”・・・って,図面もひかずに柱を立て始めたなんてことないのに.
消費者庁長官がこれ以上返金トラブルが多いと,エステ扱いにすると学会に警告したことはすでに語りました.
それでは,こういった災禍に会わないで済む秘訣を語って本日の blog を終了します.
- 資料採取したか?
- 全ての症例で非抜歯といってないか?
矯正治療をプロとして行ってゆく上で必要なのは,歯列を拡大するだけでなく,縮小させることも,高くすることも,低くすることも可能でなければならない.(カニじゃないんだから・・・)
- 認定医もしくは専門医公認を受けているか?
ほとんどの大学において歯科矯正学は卒後教育と捉えられており,サワリしか教えていない.ちなみに母校では,試験は教科書持ち込みだった.
今回の症例治療前の写真です.
今回の症例治療後の写真です.
やり直し矯正治療前後のセファロの重ね合わせです.
一般歯科医の中にもしっかり勉強されている方もお見えになりますが,このような症例を散見することが多くなった昨今です.矯正治療はプロである矯正歯科医に任せた方が無難です.