矯正歯科における咬合論

矯正歯科医=オーソドンティスト(orthodontist)= わたしたちプロである矯正歯科医は,治療のゴールとする正常な噛み合わせの原則をいくつか持っています.

  1. OJ= オーバージェッット(横から見た上下前歯の切端の距離)= 2mm.
  2. OB= オーバーバイト(前から見た上下前歯の切端の距離)= 2mm.
  3. インターディジテーション(interdigitation)= 歯の山(咬頭=cusp)と歯の谷(窩=fossa)が噛み合っていること.
  4. 犬歯誘導の確率(一名眼歯とも云われる犬歯がアゴの左右側方の運動時にガイドを始めると他の全ての歯は苦手な側方圧を避けるため瞬時に離開する).
  5. 正中の一致= 上下前歯の接する正中線が上下の歯列で一致していること.
  6. ルートパラレリング= パノラマレントゲン上で全ての歯の根が平行に並んでいること.
  7. あらゆる叢生= デコボコや空隙= 隙間が解消されていること.
  8. 辺縁隆線の一致= すべての奥歯が接する高さが一致していること.
  9. 顎運動させた時歯ぎしりなどの雑音の出ないこと.
  10. 病的な歯の動揺のないこと.
  11. 咬頭嵌合位= 歯の山と歯の谷が噛み合っているアゴの位置が生理的アゴの位置に一致していること.
  12. 切歯路角(前歯の舌側のスロープ)が前方窩路角(顎関節の受け皿である側頭骨下顎窩の前方スロープ)と一致していること.
  13. 犬歯路角(犬歯の舌側のスロープ)が側方窩路角(顎関節の受け皿である側頭骨下顎窩の側方スロープ)と一致していること.
  14. 歯が凍みたり痛んだりしない.
  15. 顎関節に運動制限・雑音等がない.
  16. 開閉口路がまっすぐであること.
  17. 肌荒れや肩こり・片方の眼瞼下垂や口角の挙上・頬部頸部の肥胖といった悪い噛み合わせに関連した諸症状が改善されていること.
  18. 患者さん自身が自分の歯並び・噛み合わせに無知覚であること.

・・・などなど

我が国における矯正治療の発展と普及に尽力されるのは大変結構なことであるが,矯正歯科専門医以外のGP= 一般歯科医院での矯正治療でこういった正常な歯並び・噛み合わせが達成されている確率は,専門医会の調査から約20%以下とされている.

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