矯正歯科の目標は・・・
- 機能性の回復= しっかりと噛めること.車検からピカピカで返ってきても,エンジンがかからなければダメ!
- 安定性の確保= この症例のように,10年経っても,20年経っても安定して,くずれない歯列.
- 審美性の獲得= 片目の美女がありえないように,従前の機能の上に立つ美.
ここで,カマクラデントフェイシャルオーソピディクス・山本歯科・矯正 = 矯正歯科鎌倉 dentfaco blog が,sixcre サーバー上に移行した直後にご紹介させていただいた,矯正治療終了後20年が経過した安定症例に登場していただきましょう.
上に掲げた症例TRさま.
画像説明 : TRさまは,18歳の半ば,矯正装置=ブレースを付けたまま,アメリカから帰国しました.当院院長が所属しているAAO= アメリカ矯正歯科医師会は,世界中にネットワークを持ち,ブレース = 矯正装置をつけたままの転院が可能です.治療費のバランスフォームまで含んだトランスファーフォームがあるのです.当院での1年半におよぶ矯正動的継続治療を経てフィニッシュしました.
上に掲げた画像は,矯正装置を外してから20年が経過した時点ものです.すべての歯が,まっすぐで,隙間なく,デコボコもなく,4歯の小臼歯抜歯をアメリカにてすでに済ませていましたが,抜歯空隙も微塵も残っておらず,フロスを通せば,パチンパチンと音をたてる程です.”価値ある本当の矯正治療”・・・を体現する一例です.
しっかりと噛めるという機能性に,20年間微塵も後戻りを起こさない安定性.さらにその上に構築された審美性.昨年も年に一度のフォローにお見えになり,DH= 歯科衛生士の一人により,歯周病による炎症の一切ない健康な歯茎が確認されました.ちょうど今年で矯正治療終了後25年経過しますので,医療安全のため,また資料を採得することをご了承いただき,皆様に紹介させていただく所存です.
矯正治療が終わっても歯並び・噛み合わせの安定性が得らえず,たちまち後戻りをしてしまえば,治療した意味がありません.
セファロについて連続してお伝えしてきた最後の話題,”矯正治療における安定性の判定”・・・にもセファロは有力な武器となります.専門的には”生理的顎位”・・・といいますが,矯正治療中にはこの位置が乱されることがないように,細心の注意を払って歯の移動を管理してゆきます.筋肉は自分の長さを記憶していますので,徒に引き延ばされたりすれば,もとの長さに戻ろうとして,食いしばり反射を始めます,これが歯や歯周組織に為害作用として働いて,歯の破折や歯根の断裂といった障害が生じます.
次回からは,兼ねてから矯正学の争点であり,学会レベルでは決着がついている,矯正歯科における抜歯の是非について,矯正治療後の安定性の確保の点から論じてゆこうと思います.